2010年2月15日

「金メダル遺伝子」あるのか?

「金メダル遺伝子」あるのか? 来月6日、NHK 最新研究を紹介

 バンクーバー五輪を目前に控え、NHKは2月6日放送の情報報道番組「追跡!AtoZ」(土曜後10・00)で、「“金メダル遺伝子”はあるのか?」と題し、最新の遺伝子研究を紹介する。

 一流のスポーツ選手たちは、普通の人より血液中のヘモグロビンを多く作ることができる遺伝子を持っていたり、短距離走に有利なたんぱく質を生み出す遺伝子を持っていたりすることが近年の研究で分かってきた。番組ではこうした遺伝子を金メダル遺伝子と呼ぶ。実際、ジャマイカで行われた調査では、短距離走者の75%が「ACTN3(RR型)」と呼ばれる遺伝子を持つ結果が出た。

 金メダル遺伝子は、人類の新たな可能性を切り開くことになるのか? あるいは地道な努力の意味を否定することにつながるのか? 最新科学がもたらした新たな問題を追跡する。

(2010年1月21日 読売新聞)




冬季オリンピックが開催されました。
昨日は上村愛子選手がモーグルで4位入賞。
毎日報道から目が離せず、
寝不足になっている方も多いのではないでしょうか。
今日はそのオリンピックに関連した
「金メダル遺伝子」についての記事を選んでみました。


スポーツ界で好記録を上げる選手には
一般人とは違った特別の遺伝子構造を持っている、
ということが研究で分かってきたというのです。
さて、この結果はどう解釈したらよいのでしょうか。

この研究方法は短距離走者と
そうでない人たちの遺伝子を比較して、
両者にどんな違いがあるかを比べる、というやり方で、
疫学調査のうち「横断研究」といわれるものです
横断研究とは字のごとく、
物事の局面をえいやっと横断面で切ったようなものです。
ですから、切り口によって様々な形になります。


この記事をみると、ACTN3(RR)を持った人だけが速くて、
持たない人は努力してもたかがしれている、
と思うかたもいると思いますが、
実際この遺伝子が金メダルに象徴されるスプリンターとしての勝者に
どの程度影響を持つかどうかというのは別の話です。

特別な遺伝子を持っていれば、
短距離選手として恵まれている土台を
もっているかもしれません。

例えば、脚が長い人は一般的に有利ですよね。
しかし、だからと言って脚の短い人が速く走れないか、
といったらそんなことはありません。
脚が短くてもよい筋肉を持っている人は、
良い筋肉を持たない長い脚の人よりも
速く走れるかもしれません。

こう考えると、“短距離を速く走る”といっても
複数の遺伝子が関与すると考えるのが普通です。
ACTN3(RR)はその内の1つを見つけただけで、
他にももっと違う遺伝子があるかもしれません。
そして、未知の遺伝子の方が今回見つかったものより、
速く走るという能力に貢献しているかもしれません。


それから、忘れてならないのは、
人の能力や業績は遺伝要因だけにはあらず、ということです。
人間の体はすべて遺伝子から成り立っていますから、
遺伝子が関わらない状況などはあり得ないのです。
「蛙の子は蛙」というように、
蛙が人間を産むことは通常あり得ません。
(遺伝子操作をすれば違った話ですが)。

しかし、人には「環境」や「努力」といった別の要因があります。
こうした遺伝以外の要因がどれだけ結果に影響するかは、
本当のところどんな研究をしても正確にはわかりません。

それは、外的環境要因は複雑すぎて、
どうやって調べたらよいか、という決まった定規が作れないからです。

そうはいっても、
私たちは遺伝子が大きく関わる体型などのハンデを持ちながら、
優れた記録を打ち立ててきた人たちを知っています。
彼らの勝利は努力と周りのサポートが
大きく影響していると考えざるを得ません。


最後に、遺伝要因でも環境要因でもない「第3の因子」が人間にはあります。
それは「チャンス」です
遺伝子や環境要因だけで
人の運命が決まってしまったら面白くないので、
神様はこうした「奥の手」を用意しているのかもしれませんね。

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ANAの中国便で大好きなパンダ飛行機が飛んでいました!
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