2011年4月19日

義捐金はどこへ行く ―被災者のために有効に使われているのか?-

東北地方太平洋沖地震に際し、「義捐金」を集める運動が盛んに行われています。
義捐金とは、日本赤十字社に対する寄付です。
被災では、家や家族を失った人がたくさんいます。
そのために、寄付を募る事はごく当たり前の事です。

しかしながら、その集めたお金なるものが、
果たして、被災者にとって良い方向性を持って使われているのでしょうか。
(参照:日本赤十字社義援金は能力なりの規模に:免罪符的寄付から自立的寄付へ

そんな疑問を抱いている折、一通のメールが飛び込んできました。
それは、アメリカに住む日本人医師からの「義捐金」を巡る動きをつづったものでした。


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今回の震災後に、多くの「組織」が、「アメリカの医療者」に「日本でのボランティア活動」の募集を繰り返ししています。

「義捐金を元」に、アメリカからの往復の交通費と宿泊費と食費が全額支給されるそうです。1週間ずつの滞在で交代するそうです。1チームが医師1-2名、看護士3-4名、理学療法士他、他の医療者1-2名の計6-7名を1週間毎に送る計画を立てているそうです。(もう始まっているそうです。)

アメリカ人の医療チームが被災地に入っても、医療体制の違いや、治療薬剤名の違いなど、なかなか「スムーズに行く」とは思えませんが、アメリカ人には「被災地をこの目で見てみたい」という「衝動」に駆られる人が多いようです。

「話題つくり」としては「インパクト」もあるし、アメリカで「被災地の現場の写真」をみなの前で「上映」すると、多くのアメリカ人が興味を持って聞いてくれます。

「相当額の義捐金」がこういう形で「アメリカに流れて来て」、飛行機代とホテル代と食費に消えているのを目にすると、これが「有効な使い方なのだろうか???」と疑問に思うことがあります。

多くのアメリカの若い独身の医療者が「ボランティア期間」の給与を、自分の病院から確保して、「ただで日本へ往復できる」と思っている「不届き者」もいるように聞きます。

とある日本のNPO団体が、義捐金から相当額を確保して、この「アメリカからの医師の派遣」を実現したとのことです。

今回の震災では義捐金の額も巨大で、また、それに群がるNPO団体も多数あり、その「使い道」をどうするかを決める人が誰なのかも不透明なのではないでしょうか。

アメリカにも「日本のNPO団体」と称する団体から、たくさんの人が「アメリカ支部勤務」として住んでいますが、、、、多くが「何をやっているのか不明」さらには「その団体の設立目的が不透明」なところが多々あります。
私個人としては信用できない団体ばかりで、関わり合いになりたくないと思っています。(多くが政府の外郭団体で、役人の天下りで占められているようなところばかりです。お金はふんだんにあるようで「日本からのお客さん」を招待したり、、、招待されたり、、、)

震災後に「日本の闇の部分を目の当たりにするよう」で、私個人としては「とても暗い気持ち」になっています。

私の所へ「日本へのアメリカ人医師派遣の誘い」をしているのはProject HOPE という団体です。
http://www.projecthope.org/where-we-work/humanitarian-missions/japan.html
http://www.projecthope.org/news-blogs/In-the-Field-blog/volunteers-assess-needs-in.html

彼らによれば、「資金の確保を日本のNPO団体からできているので、旅費、ホテル代、食費は全部まかなう。その手配も日本側で行ってもらえる。日本で医者の足りない病院に入って診療を行う」とこのことでした。
日本側の「政府の要請」だそうで、具体的な日本側のNPO団体の名前は知りません。

彼らのサイトに「アメリカ人医師が現地入りして、日本で何が必要かの調査を行っている」とあります。
また、「通訳として、その派遣団に同行したい」という「在米日本人通訳」も名乗りを挙げているようですが、、、、。私自身、「調査団」が「通訳を連れ立って」現地入りし、その全ての旅費・滞在費を日本側が「至れり尽くせり」で賄うというのは、やり過ぎのような気がしました。

まるで「アフリカの無医村へ、調査団を派遣して、医療テントを立ち上げる」かのような計画です。「日本の被災地」で「アメリカ人医療団」が「この村では何が必要か?」と調査する必要性があるのか?と疑問に感じました。

また、今回「アメリカ人医師でも自由に日本で医療行為ができるように」ということで、「超法規的措置」で「外国人医師の診療行為許可」が日本政府から出たそうです。ですので、「日本の医師免許を持たない」「日本の薬を使ったことが無い」アメリカ人医師でも、自由に診療行為が出来るとのことでした。


アメリカを含めて、世界中には「医療チーム派遣を積極的に行っているボランティア・チーム」が多数あります。
たぶん、一番有名なのが、フランスの「国境無き医師団」でしょう。勿論、こういった派遣ボランティアは重要な職務ですが、どうしても「お金」が絡んでくると「グレーな部分」「闇の部分」が出てくるのはしょうがないのでしょう、、、、。
「国境無き医師団」は、欧米では「短期間に驚異的な知名度と、資金を集めた組織」として、その方法論が「ビジネスモデル」として「研究対象」になっているほどです。彼らは「資金集め」「知名度向上のための宣伝活動」などを効率よく行うため、こういった「宣伝・資金集めのプロ」を多数雇用して、成功したとされています。(プロ集団による「知名度向上の成果」が「ノーベル賞受賞」という形になり、これが「更なる」知名度の向上と「金集めの成功」につながって、無限の「ポジティブ・スパイラル」に入っていると評されます。)

まあ、ボランティア団体に個人的な恨みは無いので、彼らがどうしようが「距離」を置いておけば良いかな、、、と思っています。


ただ、今回「募金したお金」がこういった形で使われているのを偶然知って、「ちょっと悲しくなっている」のが正直なところです。
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被災地の医療スタッフは不足しています。
ですから、海外の医療スタッフが手伝いに来てくれるというのは、
非常に喜ばしい事です。
政府も、超法規的措置をとり、日本の医師免許を持たない医師であっても、
診療行為が出来るようにしています。
しかし、このアメリカ在住医師のメールを見る限り、
善意で集められた寄付が、あまり良いやり方で消化されていないのではないか、
と感じます。
世界に名高い(悪い意味で)、我が国のばらまきODAを彷彿させます。

繰り返しますが、被災地の医療スタッフは、不足状態です。
ボランティアとして赴く医療スタッフたちは、交通費は自ら払い、報酬もありません。
彼らたちの作業は過酷であり、長時間にわたります。
それを「ボランティア」と言うだけで、お金を払わなくて良い、という考えでは、
活動自体長続きしません。
そもそも、ボランティア=無償、ではないのですから。

多額の義捐金が、海外の医療スタッフに出回る余裕があるのなら、
まず、ボランティアとして赴く医療スタッフに対しての金銭的補助と共に、
職場をある一定期間休めるようにするなどの整備に使ってほしいものです。

そのための具体的な方法として、集めた義捐金を、一度、
国庫金としてプールできるような仕組みを作るべきだと思います。
(参照: 日本政府の援助拒否ー危機管理の立場から考察する

義捐金とは、まさしく、人々の善意で集められたお金です。
それを、被災地の復興のために、最大限有効に活用する事が、
政府の責任であると考えます。

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